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園芸の基本 - 環境さえあっていれば植物は育つ、ということ [├ガーデニング・エッセイ]

ポール・スミザーの四季のガーデン生活」は、BSフジで放送された。うちでは、まだ見れないので、友達に録画を頼んだ。その友達が、他の知り合いに見せたところ、「そんなことはわかってるのよ・・・」と言ったとか。確かに、初心者向きに作った番組ではある。説明している内容は、基本的なことだと思う。園芸をある程度やってきた人ならば、どこかで聞いたことのあるような・・・

ところで、「弘法、筆を選ばず」ということわざがある。「技術のすぐれた人はどんな道具を使ってもすばらしい仕事をする」といった意味だ。けれど、このことわざが引用されるときには、「・・・というが」と続く。つまり、「道具はちゃんと選びましょうね。」と言いたいときに使うわけだ。だけど、弘法さんって、道具をちゃんと選ばなかったんだろうか?

「筆」とは、字を書くための道具、のことではなかったのではないだろうか?辞書を引くと「書かれた文字、筆跡」という意味もある。私は、弘法さんは、ちゃんと道具は選んだのだと思う。その書きたい内容に合わせて。何も知らない人が、さまざまな筆を使うのをみて、「筆を選ばず」と思ったのではないだろうか?その人は、筆(筆跡)に対応した筆(道具)があることに気がつかなかったのだ。

基本というのは重要である。だからこそ、玄人は、そのことについて話さない。なぜなら、それはあたりまえのことだから。玄人が話すことは、何か難しく、すごいことのように聞こえる。それは、基本を中心としたバリエーション(変形)でしかないのだけれど、素人はそれを聞いて、「何かすごい技(奥義)があるのではないか」と思ってしまう。

園芸の本では、いろいろな事が細かに説明してある。だけど、ポールさんは「本には・・・とか書いてあるけどね。そんなに気にすることないから・・・」と言う。本に書いてあることは重要なことなのだ。事細かに説明してあることには、それぞれに意味があるはずだ。だけど、それは基本を守った上での話でしかない。基本を知らなければ、逆に間違いを犯してしまう可能性さえある。

特定の植物が「うまく育たない」という人は多い。やさしいと言われる植物であっても、その人には、なぜかうまく育てられなかったりする種類がある。そして、その失敗は、奥義 - なにか特別な技 - によって回避できると思ってしまう。

ポールさんは、種まきや挿し木、苗作りは非常に丁寧だ。元気で健康な苗を作る。選ぶときにも気を使う。そして、いい苗を、いい場所に植えつけると、「あとは、勝手に育つ」という。植物を育てる上での基本 - 本にもちゃんと書いてあることだけれど、あまりに基本的なことなので軽く読まれてしまうそれは、環境さえあっていれば植物は勝手に育つ、ということだ。

ポールさんは、その地域に自生している植物を使うことを薦める。これも同じことだろう。自生するくらいなら、その地域の環境に適しているのは当然のことだ。環境にあっていれば元気に育つ。健康であれば、病気にも、虫にも強くなる。薬剤も少なくてすむし、普段の手入れも楽になる。そういえば、件の番組では、薬剤散布の話はなかったように思う。

「奥義」があるのではない。植物がうまく育たないのは、おそらくはその植物がその人の育てる環境(置き場なのか、日照なのか、水遣りなのか、わからないが)に合っていないのだ。人にできることは、よりよく見えるようにするために、少しの手伝いだけである。そう思うと、件の番組に雑草対策の話が多いのもうなづける。


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せり

「本に書いてある事は、まず疑ってみるからね」とも、そう言えばおっしゃってたな〜。園芸書って、先に細かい事を書いてありすぎて、初心者はそこでくじけてしまいます。まず基本を知れば、本に書いてあることもうまく生かせて、自分なりにアレンジできるんだろうな。恩師も学校で細かい事を習い、実践して、その後自分なりに試されて、今の境地に達しているので、説得力あります。私もまた恩師の言葉を思い出して、頑張りま〜すo(^ ^)o
by せり (2006-04-26 08:47) 

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