正木覚のここちよい庭づくり [└本の紹介]
正木覚は、初めてファンになったガーデンデザイナー(本人曰く、環境デザイナーらしい)である。きっかけは、妹が見つけたこの本だった。
第1章には、しっとりとしたいい庭がたくさん載っている。カラフルなボーダーガーデンのような派手さではない、落ち着く庭だった。イングリッシュガーデンのブームの最中においては、異質な感じさえした。だけど、「これは!」と思えるスタイルに出会えず、目標とする庭が明確になっていなかったときに(それは、今でも変わらないのだけれど)、ある方向性を示してくれた庭だった。
正木さんのデザインした庭は、明確な癖がなく、どれも違うスタイルの庭だといわれる。本人曰く、「それは、私がたくさんのバリエーションをもっているからではなく、どこの庭も施主の持っているものをあらわしたものだからです。むしろ自分のスタイルを持ってはいけない。そう思っています。」(マイガーデン No.22)
これは、私のシステムエンジニアとしての取り組み方と共通する。彼の庭に共感したひとつの理由でもある。自分の持っているものを押し付けて造ることはたやすい。だけど、それが必ずしも顧客のためになるシステムとは限らない。私は、システムエンジニアとして、そう考えて仕事をしてきた。必ずしもうまくいっているわけではないが。
これは一方で、大変難しいことでもある。施主の持つバリエーションを吸収し、まとめ、展開する力が要る。そのためには、表面的な技法ではなく、もっと基本的な技術について精通している必要がある。正木さんの庭づくりにおける基本、それはタイトルにもなっている「ここちよい庭」である。
第2章では、「ここちよい庭」をつくるための基礎について書かれている。デザインのポイントとして「陽射し」、「風」、「温度」、「音」、「香り」、「触れる」、「味覚」、「空間認識」、「目隠し」をあげて説明する。植物を中心とした、園芸的な庭づくりの解説ではない。もちろん環境を整えるために植物は使うが、それはあくまでも「ここちよさ」を演出するためのアイテムだ。「環境デザイナー」としての面目躍如である。
常々、園芸的な情報ばかりに嫌気がさし、庭づくりのための情報が欠けていることを嘆いているが、欲しいと思っている情報にすでに出会っていることにあらためて驚く。逆に言えば、この本がなければもっと渇望していたに違いなく、こんな本がもっと増えればいいな、と思う。
次のポールさんの本ですかね^ ^vちゃんと出るのかしら、、、。
by せり (2006-05-24 21:18)
ポールさんの本、楽しみですねぇ。
いつまででも待ちますよん。^_^V
by いむら@fintopo (2006-05-25 19:31)