SSブログ

養老天命反転地 [★ガーデン訪問記]

養老の滝で紅葉を堪能した後、同じ養老公園内にある養老天命反転地へと向かう。

以前から気になる場所ではあった。芸術家が作った体験型の作品とのことで、説明を読んでも、なんだか良くわからない。友達と行ったという妹の話を聞いても要領を得ない。「養老の滝に紅葉を見に行ったときにでも寄ってみるか」くらいのつもりでいた。

がぜん行ってみたいと思うようになったのは、日本庭園の勉強のためにと買った一冊の本を見てからだ。「日本の庭園 - 造景の技術とこころ(進士五十八著)」というその本には、日本の名園三十六景として全国の庭園が紹介されていた。東京や京都の名だたる庭園の中に岐阜県としてひとつ、「養老天命反転地」があった。

全国で36ということは、都道府県からひとつずつも選べない。そのうえ、東京都から10箇所、京都府から11箇所も選択されていては、名園が選ばれていない県の方が多い。我が近隣では静岡県も長野県も愛知県も選ばれていない中-これは微妙にショックではある-近場では唯一でもある。しかも、1995年にオープンということは、選ばれた中では最も新しい庭園でもあろう。

これは、行くしかないというものでしょう?はっきりいって、紅葉のほうがついでだったくらいである。

日本の庭園 - 造景の技術とこころ

日本の庭園 - 造景の技術とこころ

  • 作者: 進士 五十八
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/08/26
  • メディア: 新書

入場料を払って中に入る。入り口のほうには、「養老天命反転地記念館」、「昆虫山脈」、「不死門」、「極限で似るものの家」となんだか良くわからない名称の、なんだか良くわからないものがある。


はやる心を抑えて、とりあえず「記念館」に入り、「山脈」に上り、「家」を通り抜ける。

変な場所だ。わけがわからない。

だけど、体験型の芸術の魔力は強力だった。早くも虜になっていた。なんだかよくわからないけど、楽しいのだ。思いのほか、長い時を過ごす。

だけど、本命は「楕円形のフィールド」だ。まだ、遊びたい思いをひきずり先に進む。

目の前に開けたそこは、圧巻だった。直径100mくらいのくぼ地に造られたその庭園は、箱庭のようでもある。

思わず、中に飛び込んでいきたくなる。子供たちが走り回っていて、楽しそうだ。

だが、ふとみると向かいの壁の中が歩けるらしい。またも、はやる心を押さえつけ、左手の入り口へ向かう。

壁の中は、かなり狭い。一人で歩くのもやっとの幅なのに、向こう側からも人が来る。すれ違うのもやっとだ。あいさつをしつつ、互いに壁に張り付くようにしてすれ違う。

結構アップダウンがあり、なぞの円盤の下を通るときには、気をつけないと頭をぶつけてしまう。なるほど、ヘルメットの貸し出しも必要というわけだ。

壁の中をぐるりと回って、反対側から出られるのかと思っていたら、行き止まりになっていた。これで戻るということは、新たに入り込んだ人たちとすれ違わないといけないわけだ。なるほど、この狭さには、他人とのふれあいの意味もあるのだろう。


さて、いよいよ中に入る。

かなり急だ。だけど、思いのほか滑らない。「危険な公園」として有名らしいが、急な分、気をつけもするから、無理さえしなければ、それほど危ないというわけでもないように思う。(まぁ、雨でなければ・・・)


急な斜面のためか、歩いていくごとに風景がどんどん変化するのが楽しい。あっちから見るとどう見えるんだろう、そっちから見るとどうなんだろうと、疲れるのも忘れて歩き回る。

思わぬ隙間が歩けたりして、どこを通ろうかと悩む。思わぬところから人が出てきたり、見上げた丘の上に、頭だけが見えていたりと、なかなか経験できない風景が続く。それにしても、バリアフリーなんて、まったく考えられていないな。


コニファーガーデンとしてもかなり秀逸な庭園だと思う。植栽に特別なものが使われているわけではない。だけど、美しく、新鮮な感じがする。

ひととおり歩き回った後、フィールドの端に腰掛けて庭園を見下ろす。この見下ろす感覚がいい。ずっと見ていたい気になる。予想以上の満足感。美しいだけではなく、とにかく楽しい。久々にお気に入りの庭園へのランクインである。

なんとかこの感じを自分の庭に取り入れられないだろうか、と思う。地形の要素が大きいから難しいだろうなぁ・・・

そんなことを考えながら庭を見ていたら、ふと、足がぶるぶる震えていることに気がついた。久しぶりに歩いたというだけではなく、かなり踏ん張らないといけなかったため、筋肉がひきつっているのだ。なかなか体力が必要な庭であった。


リンク

養老天命反転地


nice!(3)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 3

コメント 6

チョコまる

なんだか写真だけ見ているとハテナ??な庭園ですね。しかも体験できるんですよね??…想像が付きません。
「楕円形のフィールド」はすばらしいですね。写真で見るとスケールがわからないので、本当に箱庭みたいです。
ちょっと行ってみたくなりました。
by チョコまる (2006-12-01 23:08) 

いむら@fintopo

チョコまるさん、こんにちは。
わかりませんよね。私も書いてて、わからないだろうなぁ、と思ってましたので。^_^;;
下手に詳しく書くより、これは体験してもらうのが一番でしょう、というわけでやめました。機会があれば、ぜひお寄りください。
by いむら@fintopo (2006-12-03 07:48) 

せり

おーここが養老天命反転地なのですね。ガーデニングとは全く関係のない、養老氏の「逆さメガネ」の冒頭部分でここの話が出てくるんですよ^ ^全体が斜面なので、中にいるとちょっとした傾きにしか見えなくても、実は急斜面になるそうです。感覚が狂う感じがきっと面白いのでしょうね。でもここの庭師さんは大変でしょうね^ ^;
by せり (2006-12-05 13:52) 

いむら@fintopo

こんにちは、せりさん。
養老・・・というのは、たぶん関係ないんでしょうね。^_^;
自覚はあまりないんですが、いろいろだまされてそうです。
くぼ地のせいか、遠近感もおかしくて、写真でも箱庭っぽいんですが、実際に見ても箱庭っぽいです。近いような、遠いような。で、まっすぐ歩いていけないから、やっぱり遠いような、近いような。
手入れはどうしてるんですかねぇ?確かに、大変そうです。
by いむら@fintopo (2006-12-05 21:34) 

Ryu

面白い庭があるんですね!画像を見ていると直ぐにでも行ってみたくなりました。普通の庭では感じることの出来ない不思議な気分にさせてくれる庭のようですね!面白い、楽しい、可愛い、そして宇宙を感じるガーデンです。近い将来宇宙ステーションにこんなガーデンが出来るんでしょうね!素敵な画像と情報有難うございました。★★★で~す!
by Ryu (2006-12-10 18:22) 

いむら@fintopo

こんにちは、Ryuさん。
おお!宇宙ステーションの庭ですかぁ。たしかに、こんな感じになるのかもしれませんね。そういえば、UFO(?)も浮かんでるし!?
by いむら@fintopo (2006-12-13 20:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。