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ポール・スミザーの自然流庭づくり [└本の紹介]

ポール・スミザーの自然流庭づくり

ポール・スミザーの自然流庭づくり

  • 作者: P. スミザー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/03/24
  • メディア: 大型本

せりさんに教えてもらってから待望していたポールさんの本。発売されたようなので、さっそく取り寄せる。

内容は、庭の実例が7件、花図鑑に、エッセイ。ポール流のエッセンスが凝集されている。特に、花図鑑をはじめとした植物の説明がいい。実例の庭では、どんな植物を使ったのかがわかるし、花図鑑では、性質と使い方にあわせて分類してある。「どんな環境どんな条件の場所にでも、そこに合う植物が必ずある。」というポールさん。条件にあった植物を選ぶこと、それは自然流の手間のかからない庭をつくる、ポール流の第一条だろう。そんなポールさんが、どんな植物を、どんな風に使っているのか?前から気になっていることだった。いくつかはBSフジの「四季のガーデン生活」を見ていればわかるし、GARDEN ROOMSのサイトを見れば載っていることもある。シーズンズに行けば、実際の使い方を目にすることもできる。それでも、一冊の本にまとまっているのが嬉しい。ちゃんと品種名がわかるし、索引も付いていて、後々まで使いでがある。

エッセイも楽しい。GARDEN ROOMSのサイトにある「朝めし前のひと仕事」「日本の美を取り戻そう!」などの連載なども楽しく読ませてもらった口だが、ポール節は、話だけではなく、文章でも遺憾なく発揮される。

ただ、期待が大きかったせいだろうか。とにかく、何かが、ひどく物足りない。「え、これで終わり?」という感じ。写真にしても、文章にしても、なにか中途半端である。たとえばエッセイ2の「私がイギリスで学んだこと」。これ自体は、考えさせられる内容もあって、面白い。が、最後が日本に行くところで終わってしまう。「続きは?」と思ってしまうが、続きはない。なんだか、もともとの文章の一部だけを乗せた感じで、予告編のように見えてしまう。写真は、小さいものが多いし、そのくせ余白も多い。もうちょっと大きく載せられるんでないの、とも思うし、もっとたくさんつめられなかったの、とも思う。いや、そもそも100ページそこそこって、少なすぎでしょう?

ポールさんは、エリシナのインタビュー記事では、次のように言っていた。

 植物の植え方や育て方などは、どうやって学べばいいんでしょう?
「そういう園芸のハウトゥを、きちんと教わる手段があんまりないのが実情。日本の園芸書は、植物の品種について詳しく書かれた物は多いけど、植物を実際に植えて、育てて、手入れして、庭づくりを愉しむことについて書かれた実践書は少ないと感じている。だから僕は、いま、ナチュラルガーデンのつくり方や手入れ方法などについての本を書いているところ。誰にでもわかりやすく、ガーデニングの楽しさをレクチャーする内容なんだ。来年2月の出版をめざして、がんばっているよ」

できあがったものを見ると、「実践書」からは程遠い。構成も装丁も従来のガーデニング本とたいして変わらない、“どこかでみたような”感じがする。せりさんの話から、構成をやり直して、当初の出版予定からもだいぶ伸びたことがわかる。おそらく、出版社側の思惑とポールさんの意向にずれがあったのだろう。そして、ずれが完全に収束できないまま出版した、という感じだ。

日本には、初心者向けの情報はあふれているが、中級者以上となると、とたんにまとまった情報がなくなる。これは、ガーデニングに限らず、私の仕事のシステムエンジニア関係でもそうだし、おそらく他の分野でも似たようなものだろう。日本の出版社は、目先で売れるものを目指すばかりで、ほんとうに重要な情報が詰まった、後々までつかえるような本を作らない。何とかして欲しいところである。

「実践書」を期待していた者にとっては、非常に残念な結果である。だが、まぁ、ここはポールさんの初めての本が手に入ったことを喜ぶことにして、次回作に期待することとしよう。


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せり

おお、ようやく発売されていましたか@ @う〜ん、古本は今日捨てたばかりだし、買うのは引っ越しするまで我慢、我慢。いむらさんの感想で、なんとなく感触がわかってきました。時間切れって事だったのかもしれませんね。と、言うことは第二弾もきっとありますね^ ^v(拙いブログのご紹介、有り難うございます!^^)
by せり (2007-04-12 23:37) 

いむら@fintopo

こんにちは、せりさん。
内容はいいですよ。ちょっと物足りないだけで。
本を作るのは大変なんでしょうね。よくそういう話は聞きますし。ポールさんには、これに懲りず、もっといい本を書いてほしいなぁ、と思います。
by いむら@fintopo (2007-04-13 19:46) 

Ryu

専門書で図書の紹介記事を読んでいるような錯覚に陥りました。この方は宝塚のSEASONSをトータルマネージメントされている方なんですか?たしかに外人さんがおられると聞いた事があります。SEASONSは行った事が有りませんがセリさんのBLOG記事で知りました。ガーデンが有る場所・土壌・気候にあった植物を育てる…と言うのは大賛成ですと言いながら、私の場合は進歩と研究心が有りません。反省!
by Ryu (2007-04-14 22:47) 

いむら@fintopo

こんにちは、Ryuさん。
紹介記事って難しいですね。ポールさんの本が手に入ったことは嬉しいのですが、ついつい批判的です。ほんとは、もっと褒めたいんだけど、なかなかうまくかけません。

>宝塚のSEASONSをトータルマネージメントされている方
そうです。シーズンズのデザイナーです。また行きたいけど、遠いんですよね。T_T

私も、ついつい珍しい植物に手が伸びてしまいます。まぁ、残ったものが合っているもの、と思ってやっています。残らないものがかなりありますが・・・^_^;
by いむら@fintopo (2007-04-15 23:42) 

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